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2015-05-07

高級な海苔は必ず美味しいの?高い海苔の共通点は…

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海苔の仕入れについての補足・こぼれ話です。

まいど!ネット広告でNIWAKAと見てMIKAWA(三河)!?と思うほど地元が大好きな戸田理平商店の若旦那(見習い)です。

先日、「海苔の仕入れの難しさ…毎年一年生ってどういうこと?」で海苔の入札や等級検査のお話をしました。
が、それだけでは伝え切れないものがあったので続きをお伝え致します。

◆海苔の等級検査と実際の風味

各地区の漁業協同組合(以下、組合)にて海苔の等級検査(格付け)がされますが、どのような基準で検査されているのでしょうか?

・(金属)探知機を通して、異物がないかチェックする
・重さを量り、規格内かチェックする
・形・大きさが、規格内かをチェックする
上記は機械を通して正確に判別できると思います。

・色
・ツヤ
・香り
・味
・柔らかさ
これらの検査は機械では限界があるでしょうから、検査員がチェックして等級付けするかと思います。

私が独自で調べ、また、実際に入札に参加して感じたことは、「見た目(色・ツヤ)の良いものが、良い等級を付けられる傾向にある」ということです。
愛知では「優等」が最も良い等級で、「1等」、「2等」…と下がっていくのですが、優等は黒々としてツヤがあり、見た目の綺麗な海苔ばかりです。
これらは確かに高級そうな印象を受けます。
しかし、香り・味・柔らかさも優れているかといえば…別問題です。

例えばA組合の優等とB組合の優等は、どちらも必ず美味しい海苔かと言われれば、そうとは限りません。勿論、浜の状態や豊作・不作にも拠ります。
※味覚には個人差がありますので、あくまで個人の感想です。

海苔の美味しさに重要な要素は香り・味(味わい)・柔らかさ(パリパリ度)といった風味部分だと思うのですが、等級付けではどこまで検査されているかは不明です。
1シーズンで全国80億枚以上の生産量がある海苔ですから、全てに風味の検査は現実的ではないでしょうし、各組合で検査の違いもあるでしょう。
味の検査までしっかりする組合は稀だという情報を見たこともあります。

「等級には表れない風味部分を見極めて仕入れるのが海苔問屋の醍醐味だ」とも言えますが、「優等」というだけで高値でやり取りされがちな昨今の入札には疑問を感じます。

これは海苔業界全体に言える課題だと思いますので、今回はこの辺りにしておきます。

尚、海苔屋になったばかりの若旦那(見習い)には海苔業界の知り合いがまだまだとても少ないため、今後もっと人脈が広がることで良い方向に繋がることを期待します。

◆こぼれ話~昔は競り(せり)だった~

当店の会長に聞いた話だと、海苔の入札も昔は競りだったそうです。
魚屋さんが市場でわいわいやっているあのイメージです。

指で数字を表す独自のポーズを取りつつ、口では別の数字を言って競り落とす…そんな世界だったそうです。
駆け引きやドラマが沢山生まれそうですが、その分時間は掛かるわけで、深夜まで及ぶこともあったそうです。

また、会場についても、各組合毎に開催されていたようです(現在は愛知県で一箇所にまとめられて行われている)。
昔は当店至近の御津町も海苔生産地だったりと、今の約20より多くの組合がありましたので、色んな日時・場所で海苔の仕入れ(競り)が行われていたようです。
お昼御飯は主催組合が炊き出しのような形で振る舞ってくれ、「あそこの組合は飯がドうまくて毎回楽しみだった」といった思い出話も聞きました。

そんなお話を聞いて、時代の流れによって海苔の仕入れも変化していくことを実感した次第です。
戸田海苔も時代の流れに合わせる柔軟さが重要でしょうし、でも大切なこだわりは変えず、お客様に喜ばれる美味しい海苔を提供し続けたいと思います。

ではでは、今後ともごひいきにっ!


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