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2015-08-21

海苔の貿易シリーズ1~輸入・輸出ってどれくらい?輸入元は?~

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【はじめに】
この記事で言っていること

  • ・海苔の貿易規模は、国内(約80億枚)に比べて7%弱の輸入規模、1%強の輸出規模
  •  →海苔はまだまだ国産のものが国内で消費されていると言えそう
  • ・長い目で見ると輸入は増加傾向、輸出は減少傾向
  •  - リーマンショックや東日本大震災によって不況に追い討ちが掛かったのも理由かもしれない
  • ・輸入元は韓国と中国のみだが、近年急上昇
  •  - その安さによるものかもしれず、海苔が少量使われた加工食品の原料となっている可能性がある
  •  - 気になる方は一括表示欄の原産国表記をきちんと確認することをお勧めする

東海大相模が甲子園の激戦を制しましたね!東北勢準優勝も快挙だと思います!
まいどっ!戸田理平商店の若旦那(見習い)です。

皆さん、海苔の輸入や輸出ってどのくらい行われているか御存知ですか?
日本国内での生産量は年間約80億枚程度、入札(共販)金額は700~800億円程度です。
※日刊水産経済新聞を参考

世界的な日本食ブームと言われますが輸出実績は…?お隣さんの韓国海苔は有名ですが輸入実績は…?
今回はそんな海苔の貿易についてです。

尚、先に断っておきますが、当店は海外の海苔を扱っておらず、国産にこだわっております!

◆海苔の輸出入合計(全世界)

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↑図1. 海苔の輸出入推移グラフ(1996~2014年)

【参考】
・財務省/貿易統計(以下のグラフも同様)
http://www.customs.go.jp/toukei/info/index.htm
※品目(統計品目番号、HSコード)等については末尾にて補足します

上図は海苔の貿易実績の推移を折れ線グラフで表したものです。
図の右側ふきだしの通り、2014年は

輸入重量 約1,600トン(想定枚数 5.5億枚)、
輸入金額 約33億円、
輸出重量 約300トン(想定枚数 1億枚)、
輸出金額 約10億円
※財務省貿易統計から、海苔1億枚がおおよそ280~300トンの実績となっていたため

です。
日本の海苔生産規模(約80億枚)に対して7%弱の輸入規模、1%強の輸出規模と言えそうです。
この結果から、まだまだ海苔は国産のものが国内で消費されているなということが分かります。

しかし推移を見ると、輸入が近年著しく増加しています。
1996年は圧倒的に輸出の方が多かったのが、2014年には大差を付けて逆転しています。
これは不況や、東日本大震災で東北の海苔産地が大打撃を受けたこと等が影響だと考えられます。

また、2004年から2011年頃までは両方ともジグザグしており興味深いです。
輸入が2005年に急上昇した理由ははっきりしていますので後述します。
輸出が2008年から急降下したのはやはりリーマンショックが大きかったようにも見受けられます。

では次に、海苔の輸入についてもう少し詳細に見てみます。

◆海苔の国別輸入実績

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↑図2. 海苔の国別輸入推移グラフ(1996~2014年)

上図の通り、海苔の輸入は現在韓国と中国からのみです。
しかも中国の参入は2005年からです。これが、図1にて2005年に輸入が急上昇している理由です。
しかしその後は両国とも落ち込み、近年になって急上昇しているという状況です(上昇率は韓国の方が大きいようです)。
また、日本の生産規模(約80億枚)と比較すれば、2014年は
韓国から5%強、中国から2%弱規模の量を輸入していると言えそうです。

ここからは私見ですが、韓国や中国の海苔の輸入が増加しているのは、その安さからだと思います。
背景として、リーマンショックがあったり震災で東北(主に宮城の松島湾)の海苔が大打撃を受けたりと、不況に追い討ちを掛ける出来事が発生し、海苔をなるべく安く仕入れようとする業者が韓国や中国の海苔に目を付けたことは十分に考えられます。

しかし、例えば全型サイズの焼海苔を比較した場合、日本産の品質はまだまだ負けていないと思います。
安全性・信用性という観点でも、国産かどうかを意識している消費者の方も多いと思います。

では、少量の海苔が使われた加工食品だとどうでしょう?
海苔が細かく刻まれ、そして様々な食材・調味料を使って加工された食品(例えばふりかけ等)の場合、海苔の味の違いはどれくらい判別できるでしょう?
味の濃いものや海苔の割合が少ないものほど、これはかなり難しいと思います。
そういった加工食品の原材料として、なるべく安価な外国産のものが使用されている可能性があります。

今後も輸入量が増加していくことは十分に考えられますので、もし気になった方はこれからは
原材料や原産国が記載されている一括表示欄をきちんと確認してから購入されることをお勧め致します。
※輸入品には原産国名を表示することが、食品表示法で義務付けられています。

勿論、全型サイズの焼海苔として外国産のものも売られています。
スーパーや100均で安く売られているのを見たことがあります。

と、
気付けば長くなってきましたので、輸出については次回に回します。
様々な国に輸出されてますので、パレート図&ABC分析で考察してみる予定です。

ではでは、今後ともごひいきにっ!

【参考情報】
・財務省/貿易統計
http://www.customs.go.jp/toukei/info/index.htm

~調べた品目について~
※以下のように、輸入と輸出で対象や品目名称が異なります。特に輸入に海苔の加工品(調整食料品)という枠がないのは関税対象が複数あったりして単純に算出できないせいかもしれません。
【輸入】 輸入統計品目表(実行関税率表)より
統計品目コード(HSコード):1212.21-100及び1212.21-200(2012年~)、1212.20-110及び1212.20-120(~2011年)
[コードによる品名の説明]
第2部 植物性生産品
第12類 採油用の種及び果実、各種の種及び果実、工業用又は医薬用の植物並びにわら及び飼料用植物
1212:海草その他の藻類
1212.21/1212.20:食用に適するもの
100/110:長方形(正方形を含む。)の紙状に抄製したもので、1枚の面積が430平方センチメートル以下のもの
200/120:あまのり属のもの及びこれを交えたもの(この号の1に掲げる物品を除く。)
【輸出】 輸出統計品目表より
統計品目コード(HSコード):1212.21-100(2012年~)、1212.20-110(2003~2011年)、2106.90-100(2003年~)
※2002年以前のものは確認ページがなかったため、本記事のグラフにおける1996~2002年は2003年時点と同じコードと仮定して算出
[コードによる品名の説明]
第2部 植物性生産品
第12類 採油用の種及び果実、各種の種及び果実、工業用又は医薬用の植物並びにわら及び飼料用植物
1212:海草その他の藻類
1212.21/1212.20:食用に適するもの
100/110:干しのり(長方形(正方形を含む。)のもの)
第4部 調製食料品、飲料、アルコール、食酢、たばこ及び製造たばこ代用品
第21類 各種の調製食料品
2106:調製食料品(他の項に該当するものを除く。)
2106.90:その他のもの
100:焼きのり及び味つけのり

・日刊水産経済新聞
http://www.suikei.co.jp/?s=%E4%B9%BE%E3%83%8E%E3%83%AA%E5%85%B1%E8%B2%A9


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