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2015-04-22

海苔屋のスタート地点はどこから?基本的な焼海苔加工の流れについて

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海苔屋さんはどのような状態の海苔を仕入れ、どのようにして焼海苔商品にしているか御存知ですか?

まいど!戸田理平商店の若旦那(見習い)です。

知人に家業が海苔屋だと伝えると、よく「海苔を作ってるの?」と聞かれます。
我々は海苔の生産者(漁師)ではなく、問屋業や加工・販売業をしている海苔屋です。
海苔屋を正しく理解して頂くために、当店を例にして海苔屋の主な業務内容(特に焼海苔加工)について簡単にまとめてみたいと思います。

大まかに以下のステップに分類します。

(1) 仕入れ(入札)
(2) 火入れ(ほいろ)
(3) 焼き加工
(4) 味付け(加工)
(5) カット(加工)
(6) 袋詰め・包装
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↑焼海苔加工フロー図

(1) 仕入れ(入札)

入札(昔は共販とも呼ばれた)にて、原料となる海苔を仕入れます。
入札は海苔生産地域の漁協(漁業協同組合)が主催しており、愛知では半田にある会場にて県下の各漁協合同の入札が実施されます。
愛知の入札に参加できる企業は、愛知の入札権を持つ指定業者のみです。

生産者である海苔漁師さんにて全型サイズ(21cm×19cm)の乾海苔の状態にまで処理されたものが入札に掛けられます(一部の青海苔等は除く)。
つまりどろどろの状態の海苔を仕入れるわけではなく、形としては板状に整形された海苔が、海苔屋のスタート地点です。

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↑入札の風景(下見会場)
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↑仕入れ直後の乾海苔
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↑既に全型サイズの板状

(2) 火入れ(ほいろ)

仕入れた乾海苔をいきなり焼くのではなく、前工程として火入れ処理をします。
当店では巨大な冷蔵庫のような外観の乾燥機に海苔を入れて、火入れ処理をします。お茶と同じく、これをほいろ(培炉)と呼んでいます(昔の名残)。

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↑木製の箱に入れた海苔は一晩掛けて熱を入れる

(3) 焼き加工

乾海苔を焼海苔にするメインの工程です。
当店では15m程度の専用機械のラインに流して焼き上げます。

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↑右奥から左手前に掛けて海苔が流れてくる

(4) 味付け(加工)

味付海苔にする場合は、上述の機械に対して、味を付けるためのオプション装備をセットしてラインに流します。
味付用の秘伝のタレは、工場敷地内の厨房で事前に作っています。
※通常の焼海苔にこの工程はありません

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↑ライン中腹部のここを素通りすれば焼海苔、タレを付ければ味付海苔となる
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↑味付セット時は、味を染み込ませたローラーの間を通ることで味付け

(5) カット(加工)

半分のサイズ(半切)や、1/8(8切)、1/12(12切)のサイズ、そしてきざみ海苔にするものは、それぞれ専用の機械でカットします。
※全型サイズのものにこの工程はありません

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↑8切用機械の例(左奥の工程で和紙包装までする)

(6) 袋詰め・包装

10枚入商品であれば10枚をセットにして袋に詰め、密封します。
8切や12切の商品などは、5枚単位で包装したものを(例えば50束に)束ねて更に袋詰め・密封します。
少しでも湿気を防ぐため、乾燥剤も封入します。
※贈答用の御注文の際は、包装紙、箱、缶などで包装(ラッピング)し、のしを付けたりもします

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焼き加工ラインの終点、全型の場合はここですぐに袋詰め(奥の一斗缶の中には乾燥剤)
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シーラーと呼ばれる機械で密封(プレスタイプの別機械を利用することもある)

以上が(当店を例にした)基本的な焼海苔商品の加工の流れです。

用途に応じて様々な機械が登場するなぁと思われたかもしれませんが、今回最も伝えたかったのは、
「加工のスタート地点で、海苔は既に整形された板状」
ということです。
※知人と会話していても、ここを知らない方が非常に多かったため

また、ここで少しだけアピールですが、当店の全型サイズ焼海苔の加工は、(3)焼き加工の直後に(6)袋詰め・包装をします。
つまり、焼き立てをすぐに封入するため、封を開けたときの香りの豊かさが特長です。
焼き加工をしてから一度どこかに保管した後に包装すると、どうしても焼き立ての香りは逃げてしまいますが、そうなってしまっている海苔屋さんが多いと聞きます。
是非、最初に封を開ける瞬間の「違い」をお楽しみ下さいね。

今回は焼海苔加工のスタート地点と大まかな流れをお伝えする目的だったため各工程の概要のみ紹介しましたが、各工程に焦点を当てた詳細についても、これから不定期で御紹介していきたいと思います。

ではでは、今後ともごひいきにっ!


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